中国国家統計局が20日に発表した2008年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値の実質伸び率は前年同期比9・0%と、四半期ベースでは05年の10~12月期以来の1けた成長となった。
米国発の金融危機の影響による世界経済の低迷で、輸出や工業生産の伸びが大きく鈍化した。世界の成長センターの一角として03年以来、年間2けた台の高成長を続けてきた中国が、6年ぶりに1けた成長へ減速する可能性が出てきた。
中国政府は「金融危機が国内経済に影響を与え始めている」(国務院常務会議)として減税や金融緩和、輸出促進策などの景気対策を早急に打ち出す方針だ。
生産・輸出の鈍化は今年に入ってから強まっており、1~9月期のGDP伸び率は前年同期比9・9%だった。
製造業などの第2次産業の1~9月期の実質GDP伸び率は10・5%増と、前年同期の伸び率に比べ3・0ポイント低下。サービス業などの第3次産業の伸びも前年同期から2・4ポイント下がって10・3%にとどまった。1~9月期の輸出の伸びは同22・3%と、昨年1~9月の伸び率(27・1%)から大きく減速、貿易黒字額も1809億ドルと同2・6%減少した。
個人消費の指標の「社会消費品小売総額」の1~9月期の伸び率は名目で前年同期比22・0%増、設備投資などを含む「固定資産投資」の名目伸び率も前年同期比27・0%増だった。9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比4・6%の上昇と、8月(4・9%)からさらに低下した。
中国では今年、沿岸部の輸出企業を中心に中小企業の倒産が相次ぎ、上半期だけで2000万人以上が失業したとされる。最近も米国を主な取引先としていた広東省の世界最大級の玩具メーカーが経営難に陥り、数千人規模の労働争議が発生するなど、景気後退が社会不安につながりかねない情勢となっている。
一時はサブプライムショック直後も堅調に株価が上昇していた中国ですが、世界経済の悪化の影響はやはり避けられない様です。
中国経済は輸出に依存しているので、海外で物が売らなくなると、中国で物を生産する需要も減り、輸出成長率が低下します。
今年5月の四川大地震や冬の豪雪も、GDP成長の悪化の要因の1つになっている様です。